A03

A03 吃音になる子どもはどれくらいいるのですか?

吃音が最も生じやすい2〜4歳の時期に吃音になるお子さんの割合は、20人に1人くらいです。思ったより高い割合と感じられるかもしれません。しかし、お子さんのことばの能力が伸びてくる中で、3〜4年後には、7〜8割くらいの割合で吃音が消失すると言われています。

上述の20人に1人というのはイギリスのある町の住民全員を対象にした研究で明らかにされたことですが、今世紀に入ってからの研究(参考文献1, 2)では、小児期の吃音(発達性吃音)の発症率は10%前後であるとする研究が海外から複数出てきています(そのほとんどは2〜4歳に発症します)。2016-2018年度の私どもの研究でも、幼児期に吃音になるお子さんの割合は、10人に1人くらいだということがわかってきました。

一方、北海道の研究(参考文献3)では3歳児健診で診察すると吃音のお子さんは1.41%だったという結果が発表されています。この違いは、吃音の症状には場面や時期による変動があるので、ある一時点・一場面で吃音の症状が見られるお子さんの割合は、幼児期全体を見て調べた研究の結果より少なくなるということではないかと解釈されます。

参考文献
  1. Yairi, E. and Ambrose, N.: Epidemiology of stuttering: 21st century advances. Journal of Fluency Disorders 38(2):66-87, 2013. DOI: 10.1016/j.jfludis.2012.11.002.
  2. Reilly, S., Onslow, M., Packman, A., Cini, E., Conway, L., Ukoumunne, O.C., Bavin, E.L., Prior, M., Eadie, P., Block, S., and Wake, M.: Natural history of stuttering to 4 years of age: A prospective community-based study. Pediatrics 132.3: 460-467, 2013. DOI: 10.1542/peds.2012-3067.
  3. Shimada, M., Toyomura, A., Fujii, and T., Minami, T.: Children who stutter at 3 years of age: A community-based study. Journal of Fluency Disorders 56:45-54, 2018. DOI: 10.1016/j.jfludis.2018.02.002.
※ 21世紀に入ってからの知見と参考文献(英語)を追記しました。(2020年1月、森)

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