第17回 4歳児の絵本

第17回のテーマは<4歳児の絵本>です

配信年月:2018年2月

お母さま方は、子どもの頃読んでもらった絵本をおぼえていらっしゃいますか。わくわくドキドキした絵本、ほんわか温かな気持ちになった絵本、何度も繰り返し読んでももらった絵本。お母さんやお父さんの膝の上の感触とともに思い出されるのではないでしょうか。

 1. 「絵本は、子どもがはじめてであう“本”です」(福音館書店「絵本の与え方」)

絵本によって、子どもは喜びや楽しさを知ります。そして、体験したことのない物語の中で、空想の世界を広げることもできます。普段の生活の中では聞くこともないような新しい言葉も吸収していきます。そして、なにより、親子の気持ちが自然に寄り添い、通い合うその時間は、子どもの安定した情緒をはぐくみ、親子の絆を作る大切な時間となります。忙しくても、一日の5分か10分の時間で、絵本は読み終わります。忙しいお母さまたちにとっては大変かもしれませんが、ちょっと、腰を落ち着けて、寝転がって、一緒に絵本を楽しみませんか。

2. 4歳の子どもにはどんな絵本がよいでしょうか?

この時期は、少し長いお話も聞いていられるようになります。どんどん想像力をはたらかせて、目の前にない世界を広げていきます。そこでこの時期の主役は、“物語絵本”です。

『おおかみと七ひきのこやぎ』 『3びきのくま』 『三びきのぶた』 は、定番の昔話です。子どもの生活から少し離れた世界で、同じような繰り返しがありながら、少しずつ展開していきます。

『はじめてのおつかい』 『いたずらこねこ』 『こんとあき』 『ぐりとぐら』 『100まんびきのねこ』 『めっきらもっきらどおんどん』 『すてきな三にんぐみ』 『ちょっとだけ』ワクワクドキドキがちりばめられています。

まだまだ、たくさんありますが、夢中になって感情移入して聞いていられる絵本がよいと思います。もしかしたら、「それ知っている」という絵本があるかもしれませんね。そうです、長く親しまれている絵本は、やはり“よい絵本”なのです。

3. 絵本はどのように読むのがよいでしょうか?

絵本を読むときのお約束ですが、何かを教えようと思って読まないでください。また、文字を読む練習のための絵本ではありません。あくまでも大人が読んで聞かせてあげてください。感じる気持ちや、考え想像する力が育つためには自由にのびのびほっておくのがよいと思います。読みっぱなしでよいのです。説明する必要もありません。お子さんが知りたい気持ちが芽生えたら、たくさん応えてあげてください。

我が家では、気にいった絵本を読んだ後は、ごっこ遊びが展開していました。例えば、七ひきのこやぎになって隠れ、母が扮するオオカミから逃げ回りました。何度も何度も繰り返されました。成人した娘は今でも、「楽しかった」とその頃を振り返り、私にとっても、とても幸せな記憶となっています。

 

4.吃音のまめ知識

メルマガ14号で「何歳位になると吃音の話し方に気づくようになるのか」について取り上げましたが、もし子どもが気づき、「〇〇くんはせせせせんせいって言うんだよ」などと報告してきた場合、どのように対応したらよいでしょうか。このような時は、疑問に感じたことに対し「そうなんだね」としっかり耳を傾けていただき、「きっと、時々、せせせせんせいってなるんだね。」「時々そうなるお友達もいるんだよ。」「なぜそうなるかは誰もわからないかもね。」「言いたいことが言えるまで待ってあげてね。」などと、その時その時に合わせて返していただくとよいかと思います。

子どもの純粋な疑問なので、「そんなことを言ってはいけない」と注意する必要はありません。そのような注意が却って「せせせせとなることは、何だかよく分からないけど、よくないことなんだ」と感じさせることもあります。そういう話し方もあるんだよ、悪いこと、おかしいことではないんだよ、本人もわざとそうしたいと思っているのではないと思うよ、というようなメッセージを伝えていただければよいと思います。

(研究に協力していただいている、あるお母様から寄せられたご質問に対する回答です。より詳しくお知りになりたい場合は、「A06  子どもが、お友達の吃音の(ような)話し方について質問してきたら?」をご参照ください。)

5. 参考図書など

  1. 福音館書店: 「絵本の与え方」(PDFファイル, 1.9 MB)