第4回のテーマは前回の続きで<ことばの育て方②>です
配信年月:2017年初頭
第3回(前回)の記事にて紹介しました「インリアル法」について引き続きお話させていただきます。
1. インリアル法
「インリアル法」は、コミュニケーションの際に、聞く側がよい反応をすることによって、ことばの発達を促そうとする考え方がもとになっています。子どもはすごい力を持っているので、聞く側が特別よい反応をしなくても(例えば、子どもの話しかけに「はいはい」と口先だけの返事をしていても)、自然とことばを育てていきます。だけど、聞いている大人が、その子の気持ちに沿った反応をすることで、もっとことばを増やし、もっとコミュニケーションを楽しめるようになっていきます。
2. 子どもとかかわるときの基本姿勢
第3回では、インリアルの基本姿勢の「SOUL(ソウル)」、S, O, U, Lの4つのうち、「S (Silence = 沈黙)」と「O (Observation = 観察)」、つまり口を閉じて沈黙した後は、目を開けて子どもをしっかり観察しようというかかわり方をご紹介しました。では、今月は続きの「U」と「L」です。
まず「U(Understanding)」ですが、これは「理解」です。
しっかり観察したものを、これまでの子どもの情報と合わせて、理解しましょうという提案です。例えば、着替えのボタン止めを「自分でやる!」と時間がかかってもしつこく頑張っているのは、この前できたときにみんなが褒めたからだな〜、褒めてもらいたいんだな〜と理解できるかもしれません。
最後の「L(Listening)」は「聞くこと」です。
今、その子が言っていることにしっかり耳を傾けましょう、あるいは、まだはっきりしたことばで表現できていないとしても、言おうとしていることにしっかり向き合いましょうというものです。
黙って、見て、理解して、聞く。日々の生活の中ではなかなか難しい姿勢ですが、これが子どものことばの発達を伸ばす基本姿勢としてインリアルでは提案されています。
3. 参考図書
- 中川信子: 心をことばにのせて. ぶどう社, 1990
文責:酒井奈緒美(研究分担者, 国立障害者リハビリテーションセンター)
AMED研究「発達性吃音の最新療治法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」
研究代表: 森 浩一(国立障害者リハビリテーションセンター)